導入
全国高校サッカー選手権大会は、山梨学院の優勝で幕を閉じましたね。しかし、今回の高校サッカーで注目されたのは、優勝校ではなく、ロングスロー。ここまで多用されるロングスローについてクローズアップされ物議が醸し出されました。
いったいなぜ、ここまでロングスローが話題に上がったのか、今後どうなるのか。いろいろな意見がある中、ロングスローは今後、高校サッカーで禁止されるのか、どうなるのかを見ていこうと思います。
高校サッカーのロングスローとは
高校サッカーの強豪の一つ、青森山田高校が戦術として使っているのがロングスローです。
かなり飛びますねー。スローイングで投げたボールがゴール前に届くのは、良い手だと思う反面、相手側だとなかなか外にボールが出せないので、劣勢になってしまいますよね。
ちなみに、通常のスローイングはこちら
スローインの基礎と応用がわかります。
基本的に、スローイングはサイドラインからボールが出たときに、ボールを投げ入れてゲームをスタートするルールです。
ただ、投げる相手に対しては決まっていません。通常は遠くまで投げれる人がいないので、近くの選手にボールを渡します。
高校サッカーの強豪校の青森山田高校はロングスローを多用していました。
では、ロングスローのメリット、デメリットはどのようなものがあるのでしょうか?
ロングスローの5つのメリット
ロングスローのメリットは次の5つが挙げられます。
・オフサイドにならない
・ゴール前で混雑状態を作り出せる
・スローイングがすべてセットプレーになる
・ロングスローのクリアは飛ばない
一つずつ見ていきましょう
ゴール近くにボールを投げることができる
ロングスローはゴールの近い位置にボールを投げることができます。なので、クロスボールやセンタリングの一種とも言えます。
通常、クロスボールやセンタリングをするとき、走りながら敵のディフェンスを交わして蹴る必要があるため、蹴ったときに相手に当たったり、狙った場所に飛ばないこともあります。
ロングスローの場合、相手に邪魔されないので、狙ったところに投げ入れることができます。
そのため、チャンスを作りやすくなります。
オフサイドにならない
オフサイドとは、次のようなことを言います。
オフサイドとは、オフサイドポジションにいる味方にパスを出す、またはオフサイドポジションにいる味方プレーヤーが相手を邪魔したりボールに関与する反則のことを言います。 相手チームに間接フリーキックが与えられます。 ただ、オフサイドポジションにいてもプレーに関与しなければオフサイドとなりません。
画像で見るとこちら↓
通常のプレーだとオフサイドになります。
しかし、スローインだとこのルールが適用されなくなります。
ロングスローともなると、ゴール近くに投げれるため、オフサイドを気にすることなくボールを投げ入れることができます。
こうなってくると点が入る可能性が高いので、ロングスローは脅威になりますね。
ゴール前で混雑状態を作り出せる
ロングスローのメリットの一つとして、ゴール前で混雑状態を作り出せるというものがあります。
今回の高校サッカー選手権で青森山田高校がロングスローを使う理由もここにあるのでしょう
ロングスローから得点した映像がこちら
混雑状態を作り出せると、ボールがどこにあるのか見失います。そうなると、敵味方関係なく誰が蹴ってもゴールする状態になります。
なので、オウンゴールを誘うこともできます。通常のセンタリングと違い、ロングスローは山なりなボールになり、上から落ちてくるというイメージです。
そうすると、なかなかヘディングでボールに触りにくい状況になるため、オウンゴールになりやすいですね。
実際の映像がこちら
守っているチームはこれが怖いですね。得点されやすくなってしまうので。
なんとか、阻止しようとした結果、相手に得点を献上するという結果にもなってしまいます。
スローインのすべてセットプレーになる
ロングスローを活用すれば、すべてのスローインをセットプレーにすることもできます。セットプレーとは、センタリングを上げたり、間接フリーキックでボールを蹴ったりすることもあります。
ただ、センタリングを上げることや間接フリーキックはなかなかチャンスはありません。スローインはボールがサイドラインを割ったときにできるので、センタリングを上げたり、フリーキックをすることよりもチャンスが多いです。
そのため、ロングスローを投げれる人がいるとすべてセットプレーにすることができるため、有利になりますね。
ロングスローのクリアは飛ばない
守備側の視点でいうと、ロングスローをクリアするとき、大きく飛ばすことが難しいといわれています。
実際の映像を見ても、大きくクリアしていませんね
空中にあるボールには頭で触れる必要があったり、ほぼ真上からくるボールに対して足を合わせるのはとても難しいです。
また、コーナーキックやセンタリングに比べてボールの球威がないことも、大きくクリアできないことになるのではないでしょうか。
そのため、こぼれ球を押し込みやすい状況を作れます。そして、守備側がサイドラインにボールを出したとしても、再度ロングスローでボールが入ってくるので、疲弊してしまいますね。
ロングスローにはこのようなメリットがあります。
では逆にデメリットはあるのでしょうか?
ロングスローの3つのデメリット
ロングスローには、デメリットもあります。どのようなものがあるのでしょうか?
・ゴールまで届かない
・受ける人の能力によって効果なし
一つずつ見ていきましょう!
投げられる人が少ない
今回の高校サッカーでは青森山田高校がロングスローを使っていました。ほかのところではどうなのでしょうか?
ほかの学校ではロングスローを投げれる選手がいません。なぜなら、ロングスローをするためのトレーニングとサッカーの技術を高めるトレーニングは違うからです。
サッカーは足を使ってボールを運ぶので、手はゴールキーパー以外使いません。ロングスローのために鍛える筋肉よりもほかに鍛えるところが多いので、投げれる人が少ないのでしょう。
精度がたかくない
ロングスローが通常のスローインよりも遠くに飛ばせるといっても、蹴り入れるクロスボールよりも飛距離や精度はともに高くはありません。
手で投げるほうが精度が高いという方もいるかもしれませんが、プロともなればロングキックほうが狙ったところにボールを送りやすいので、キックのほうが精度が高いです。
スローインで狙ったところに入れるのは難しいとも言えます。
受ける人の能力によって効果なし
ロングスローを効果的に使うためには、味方のボールの受ける能力も必要になります。
ロングスローのボールは、ロングキックよりも山なりのボールになりやすいです。
サッカーをしたことがある人はわかると思いますが、山なりのボールはかなり扱いにくいボールです。そのため、受ける味方の能力が高くないとロングスローでボールを投げ入れても効果的に使うことはできません。
投げる人が少ないので、投げれるようになるとチームの一つの武器になりますね。
では、ロングスローはファウルになるときがあるのでしょうか?
ロングスローがファウルになる理由
通常のスローイングでもファイルになるときがあります。どんな時にファウルになるのでしょうか?
スローインがファウルになるときは次の通り
1.投げるとき両足が地面についていないといけない
2.ラインを超えてしまうとき
3.ボールが頭の上を通過していないとき
上記の3つの時スローインがファウルになります。
この内容はロングスローでも適用されます。ただ、そこまで詳しく見ているかどうかは疑わしいです。明らかにファウルなら反則を取ると思いますが、微妙なものは流されてしまうでしょう。
日本代表では使われない理由
今回の高校サッカー選手権ではロングスローを多用するチームが増えていました。そのことについて同試合の解説を担当した元日本代表FWの城彰二氏が今大会の応援リーダーを務めた元日本代表DFの内田篤人氏に対して、質問をしていました
城「ロングスローってやっぱりすごい武器になりますよね。内田さん、なんで代表もやらないの?」
内田「あそこまで飛ばないです。強さだけではなかなか。背筋から肩の柔軟性も必要ですからね」
ロングスローで必要なのはパワーだけではなく体の使い方も必要のようです。
というのも内田選手は、過去にロングスローの練習をしたことがあるとも言っていました。
鹿島アントラーズでのプロ1年目、ブラジル人指揮官のパウロ・アウトゥオリ氏の下でロングスローの練習を行った結果「多少は飛ぶようになります。けど、あそこまではちょっとなかなか飛ばないですね」
高校サッカーはロングスローにすべてをかけているといっても過言ではないですね。
サッカーの本場、イギリスでも使われるロングスロー
ロングスローは高校サッカーだけではなく、Jリーグやサッカーの本場イギリスのプレミアリーグでも使われる戦術です。
特に有名なのは、人間発射台ともいわれるロリー・デラップ選手のロングスロー
デラップ選手は学生時代にやり投げのチャンピオンになったこともあるので、これほどのボールを投げ入れることができるのですね。
デラップ選手はロングスローの利点について次のように語っています。
オフサイドにならず、またボールを手で扱う分コーナーキックよりも精度が高く、直線的に投げれば相手ディフェンダーはクリアしにくいのではないかと述べている
高校生と違い、スピードのあるボールを投げ入れていますね。
これだけのスピードと精度で投げられると、相手チームのトラウマになりそうですね。
デラップ選手以外にもロングスローを投げれる選手はいます。
2012年のアイスランド対日本代表の試合ではアイスランドのソルステインソン選手がハンドスプリングでのロングスローを使っていました。
ロングスローは今後禁止されるのか?
気になるのは今後、ロングスローは禁止されるのか?ということですよね。サッカー全体としてはおそらく禁止にはならないだろうと思います。
高校サッカーでは多用しているもののプロになれば、ロングスローよりもフィールドでのプレーが重要になってきますし、海外サッカーでも同様です。
ロングスローを投げれればいいかもね、くらいではないでしょうか。ロングスローを投げれるよりもフィールド上での技術を上げて活躍していないと選手としては起用されることはないでしょう。
ただ、高校サッカーでロングスローを多用するのは、単純に勝つ確率を上げるためです。プロよりもボールを扱う技術が備わっていないので、ロングスローを使えば、得点しやすいのではないでしょうか。
まとめ
今回は、ロングスローのメリット、デメリット、今後ロングスローは禁止されるのかということについて、記事を書いていきました。
サッカーの一つのルールがこれほどまでに取り上げられるのは、過去にはなかったことですね。それほどまでに目にすることが多くなったのでしょう。
以前は、ロングスローが投げれるなんてすごいね。という感じでしたが、今では誰もかれも投げれてどうなん?ということで話題に上がったのでしょう。
高校サッカーがあるたびに話題に上がるかもしれませんね。
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